最近よく聞くけど英検S-CBTとは?通常の英検との違いは?
英検をS-CBTで受ける場合の注意点やデメリットはある?
英検の受験方式の1つであるS-CBT。比較的新しい方式なのでなじみのないかもしれません。S-CBTはひと言でいうと「パソコンで受験できる英検」です。4技能を1日で受験できたり、自分の都合に合わせて柔軟に試験日を選べるなどメリットも数多くあります。
小学生や中学生など子供のS-CBT受験も増えてきていますし気になりますよね。従来型の英検とS-CBTで難易度に違いはありません!この記事では、従来型の英検との違いや、従来型と比較したメリット・デメリットなども詳しく解説します。
子供と実際にS-CBTを受験したときの体験談は以下をご覧ください。
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英検S-CBTとは:パソコンで受けられる新しい英検
S-CBTとは、パソコンを利用したCBT(Computer-Based Testing)方式の試験です。
従来の英検と同様に、リーディング、リスニング、ライティング、スピーキングの4つの技能を測るもので、英語力を総合的に評価できます。
自宅からのオンライン受験ではありません。全国にあるテストセンターに設置されているパソコンを使って受験します。
英検S-CBTは毎週のように開催されているため、自分の予定に合わせて頻繁に受けられたり、合格までの計画が立てやすいというメリットがあります。試験はパソコンで行われるため、従来のマークシート方式に比べ、タイピングやマウス操作に慣れた人にとってはスムーズに進められます。
英検S-CBTと従来型英検との違い
英検S-CBTと従来の英検は、試験の形式や問題内容がいくつか違う点があります。
難易度・合格率・資格の信用度に違いはありません。合格してもS-CBTだから資格証明として使えないということはないので安心してください!
ただし、人によって試験方式との相性はあるので、結果としてS-CBTのほうが点数が高かったとか難しかったなど違いを感じる場合もあるとは思います。
単純な試験としての違いは、以下になります。
S-CBT | 従来型英検 | |
---|---|---|
受験方法 | コンピュータで受験 ・選択肢をマウスでクリック ・ライティングはタイピング /筆記から選択 ・スピーキングはバーチャル 面接官相手に録音 | 解答用紙に鉛筆で記入 ・マークシート形式 ・ライティングは筆記 ・スピーキングは面接官との対面 |
所要日数 | 4技能を1日で受験 | 1次試験と2次試験の2日 |
試験日 | 原則毎週土日(平日開催もあり) | 年3回 |
受験可能な級 | 準1級~3級 | 本会場1級~5級 準会場2級~5級 |
受験会場 | 全国のテストセンターから 自分で選択できる | 指定された近隣の会場 (本会場) |
検定料 | 下記参照 |
従来型は本会場と準会場で一部違いがありますので注意してください。準会場について詳しくは以下で解説しています。
それぞれの違いについて、詳しく説明します。
受験方法の違い
S-CBTと従来型英検の受験方法の違いは以下の通りです。
- 紙の試験かパソコン受験か
- スピーキング試験
- 試験の終了タイミング
紙の試験かパソコン受験か
一番大きな違いは、受験方法の違いです。従来型の英検は紙ベースの試験で、問題用紙は紙の冊子となっており、マークシートに答えを記入します。S-CBTはパソコンで行われるため、マウスを使って画面上での操作が必要となります(ライティングのみキーボードで打ち込むか、手書きで紙に書くかを選択できます)。
さらに、英検S-CBTでは問題を解き終わった後、各自試験を終了して帰宅することができますが、従来の英検では試験時間が終了し、試験監督が問題と解答用紙を回収・確認するまで全員待機する必要があります。
スピーキングテストについて
スピーキングテストは従来型とは大きく異なります。
従来型では面接官のいる部屋に1人ずつ順番に入室して、対面で受けますが、S-CBTはスピーキングもコンピュータを使ったものになります。画面に現れるバーチャル面接官の指示に従ってコンピュータに向かって回答するバーチャル面接となります(画面の先に面接官がいるわけではありません)。
映像を見ながら、バーチャル面接官からの問いかけに対する自分の回答が録音されます。回答時間には制限があり、時間になったら勝手に終了してしまいます。
残り時間を見ながら、その時間までに終わるよう時間を調整する必要があるので臨機応変な対応が必要となります。
また、自分が話していても他の人の話し声も耳に入ってくるため、慣れていないと戸惑うかもしれません。
所要日数の違い
従来型の英検では、1次試験(リーディング、リスニング、ライティング)に合格した受験者のみが、後日2次試験を受けるため、2日に分けての受験となります。
これに対し、S-CBTではリーディング、リスニング、ライティング、スピーキングの4つの技能について1日で終了することが特徴です。
1日で終わるのはメリットですが、4技能並行して英検対策をしなくてはいけないのはちょっと大変ですね。
なお、S-CBTでは一番最初にスピーキングテストを受け、その後リスニング→リーディング→ライティングの順番での受験となります。
日程と回数の違い
従来の英検は年に3回の実施ですが、英検S-CBTはほぼ毎週末開催されている点も大きな違いです。
受験可能な級の違い
S-CBTで受けられる級は3級以上準1級までです。すべての級に対応しているわけではないので、1級・4級・5級は従来型のみでしか受験できません。
試験会場の違い
英検の試験会場については、従来型の本会場では受験を希望する地域を指定することはできますが、細かい会場の指定はできず、受験票が送られてくるまでわかりません。
そのため、距離は近くても交通の便が悪い会場になってしまう可能性もあります。
S-CBTの場合は、全国のテストセンターから自分で選んで申し込みをするので、利便性のいい場所を自分で選ぶことができます。
検定料の違い
各受験方式と級別の検定料は以下になります。
1級 | 準1級 | 2級 | 準2級 | 3級 | 4級 | 5級 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
本会場 | 12,500 | 10,500 | 9,100 | 8,500 | 6,900 | 4,700 | 4,100 |
準会場 | – | – | 6,900 | 6,100 | 5,000 | 2,900 | 2,500 |
S-CBT | – | 10,600 | 9,700 | 9,100 | 7,800 | – | – |
S-CBTは従来型の本会場試験よりも、数百円割高になります。安い料金で受けたい場合は、準会場での受験が一番安くなります。
英検S-CBTと従来型英検は併願可能
実は、英検S-CBTと従来の英検は併願することができます。つまり、同じ期間に複数回挑戦することが可能なんです。
従来型のみの受験だと年に3回しかチャンスはありませんが、S-CBTは6回受けられます。併用することで、同じ級を最大で年9回受けることができます。
仕事や受験で英検取得が求められているなど短期間での合格を目指す場合は、S-CBTと従来型を併願することで受験の機会を増やすことができます。
詳しく説明します。従来型試験は、年3回の検定で同一の級は1回ずつしか受験できません。これに対し、S-CBTは原則毎週土日に開催されています。検定期間は4月~7月、8月~11月、12月~3月の3つですが、1つの検定期間内にに同じ級を2回まで受験可能です。
このため、従来型英検の3回と、S-CBTの期間内2回x3期間の6回で、年度内で最大9回受けられます。
学校・職場にスコアを提出することを求められている場合は、複数回受験して一番成績が良かったものを提出すればOKです。
従来型の英検は日程が決まってるので大事な用事と英検の試験日がかぶってしまう可能性もあります。そんな場合もS-CBTの方で受けられれば助かりますね!
英検S-CBTの難易度は?従来型英検とどちらが合格しやすい?
英検S-CBTも従来型の英検も、問題形式や出題範囲、採点基準は同じです(同じ問題ではありません)。難易度レベルも同じなので、どちらのほうが難しいということはありません。
ただ、S-CBTのパソコンでの受験に慣れていないと戸惑ってしまい、試験に集中できず力が発揮できないという可能性はあるかもしれません。
英検S-CBTはどこで受けられる?
S-CBTは全国にあるテストセンターと呼ばれる試験会場で受けられます。1人1台パソコンを使うため、受け入れ人数に限りがあり、先着順となります。
そのため、申込期間内であっても希望のセストセンターが満席で指定できないこともあります。
具体的なテストセンターは英検の公式サイトから検索することができます。
英検S-CBTは小学生でも受けられる?
英検S-CBTは、従来の英検と同様に年齢制限はありませんので、小学生でも中学生でも受けることが可能です。ただし、受験できるのは3級からで、4級・5級は実施されません。
小学生が受験する際には、パソコン操作が必要となりますので、事前に本番を想定した練習が必要になります。パソコン操作といってもライティング以外はマウスを使って選択肢をクリックするだけですのでそれほど難しいものではありません。
しかし、注意すべき点はいくつかあります。
- 画面上の問題を解くので紙とは感覚が違う
- S-CBT特有の操作のコツがある
- 問題にフリガナなし
- 保護者は試験室には入れない
問題が画面に表示されるため、紙に書き込みをしながら進めることはできません(「後で見直す」という機能はあります。また、リーディングだけは画面上で赤字やマーカーを入れることはできます)。
また、誤って終了ボタンを押してしまったらその場で試験が完全に終了してしまうなど、どちらかというと操作よりもS-CBT固有の問題の解き方を把握しておく必要があります。
特にライティングに関してはタイピングでの受験は子供にはリスクが高いと感じました。詳しくはデメリットのところで解説します。
そして、従来の英検では3~5級は問題文や指示にフリガナがふってあるのですが、S-CBTは3級でもフリガナはありません。問題文の漢字が読めないために間違ってしまうのはもったいないですので、低学年のお子さんは注意が必要ですね。
もう一点、従来型英検では、サポートが必要な子供の付き添いとして、試験開始5分前までは試験会場に入ることができますが、S-CBTでは同行できるのは受付までです。試験前であっても保護者が教室に入ることはできませんので注意してください。
また、4技能一気に受けるため全体の試験時間が長くなります。小学生の場合集中力が途切れてしまう可能性も考慮する必要があります。
ただ、タイピングに慣れていない場合でも、ライティングは筆記での回答を選択することもがきます。それ以外の問題はすべてマウスで解答できます。
事前にパソコンでの受け方を確認し、解き方をシミュレーションしておく必要はありますが、小学生でも事前に準備しておけばそれほど心配する必要はないのではないでしょうか。
子供と実際にS-CBTを受験したときの感想は以下にまとめています。
英検S-CBTのデメリット
このように、従来型の英検とS-CBTにはさまざまな違いがあります。S-CBTで受験するメリットとデメリットについて説明します。英検S-CBTのデメリットは以下になります。
- パソコンでの操作に慣れておく必要がある
- 自己採点ができない
- スピーキングが独特
- 各回の定員が少ない
パソコンでの操作に慣れておく必要がある(タイピングは要注意)
パソコンでの操作となるため、事前に試験の形式に慣れておく必要があります。英検の公式サイトにも英検S-CBTの体験版があり、実際のS-CBTと同じようなデモを確認することができるので、雰囲気を掴むことができます。
ただし、特定の級の問題をサンプル的に解くかたちとなり、採点もされませんので、本番前の模擬試験としては使えません。
公式サイトの体験版だけでは不安な方は、S-CBTに対応した市販テキストで特典として独自のWeb模擬試験を提供しているものがありますよ。
特に注意したいのはライティングです。タイピングが慣れていると手書きより速く入力できるし、手書きのようにaとdなど紛らわしい文字が誤認識されてしまうこともないため、タイピングの方がいいように感じます。しかし、子供がタイピングができるからと言って安易に選択するのは危険があると感じました。
小学5年生の子供が英検公式サイトの体験版を使ってライティングのタイプ入力を試してみました。パソコンでローマ字入力でのタイピングを日常的にしていて慣れているはずなんですが、それでも英字を打つのは感覚が違うようで打ちにくいと言って苦戦していました。
また、タイピング受験の場合は入力済みの文章をコピー&ペーストできる便利な機能があるんですが、もし文字を選択している状態で誤ってバックスペースなどを押してしまったら入力した文章がすべて消えてしまうかもしれません。これは致命的ですよね。
子供には[Ctrl]+[z]のショートカットで直前の操作を取り消すことで、消えた文字を元に戻せることを教えました。しかし実際に受験したところ、テストセンターのパソコンはショートカットが無効になっていることがわかり、この方法も使えないことが判明しました!
公式サイトの体験版を使った時点で本人がタイピングの受験に不安を感じたため、筆記(手書き)での受験に切り替えました。普段使っているキーボードとは操作感が多少違う可能性もあるため、タイピングか筆記かは慎重に選んだほうがよさそうです。
自己採点ができない
S-CBTではパソコンに問題が表示されるため、問題を持ち帰ることができず自己採点ができません。そのため、合格発表まで結果の憶測がしにくいです。
短期間で複数回受験する方など、手ごたえをつかみにくいまま次の申し込みをしなくてはいけないかもしれませんね。
スピーキングが独特
S-CBTのスピーキングは対面ではなくコンピュータに向かって話す形式となります。パソコン上の人物の問いかけに回答するかたちとなりますが、オンラインで画面の向こうに実際の面接官がいるわけではなくて完全にバーチャルです。人前だと緊張してしまうような方だと向いているかもしれませんが、やや独特な部分があります。
たとえば、質問に対する回答時間に制限があり、時間をすぎるとしゃべっている途中でも終了してしまいます。対面なら話し終わるまで待っていてくれるケースでも、容赦なく切られてしまいます。また、制限時間が画面上でカウントダウン表示されるため、焦ってしまうかもしれません。
そして、スピーキングはヘッドフォンをして画面に向かってしゃべるため、同じ試験室内にいる他の人の声が気になることもあります。反対に、自分の声も他の人の耳に入る可能性があるため、変に意識して力を発揮できない場合もあります。
各回の定員が少ない
従来型の英検(本会場)は自動で受験会場が割り振られるため定員はありませんが、S-CBTのテストセンターの定員数は少なめです。定員に達すると締め切られてしまうため、早めの申し込みが必要です。
英検S-CBTのメリット
続いて、S-CBTのメリットについても説明します。メリットはこちらです。
- 柔軟に計画を立てられる
- 日程・試験会場の変更ができる
- 1日で完結
- リスニング音声をヘッドフォンで聞ける
- 終了したら退室できる
1つずつ説明します。
柔軟に計画を立てられる
S-CBTは原則として毎週末実施されていますし、テストセンターによっては平日も実施されています。また、従来型英検とあわせて年間9回まで受けられるため、自分の都合に合うタイミングで申し込むことができます。
日程・試験会場の変更ができる
従来型の英検は、基本的に申し込み後の会場の変更はできません。しかし、S-CBTは同じ期間の締切り前であれば、試験会場(テストセンター)や日程の変更ができるんです(空きがある場合)。
S-CBTの申し込み画面には以下のような注意書きがあります。級の変更や申し込みキャンセルはできないが、試験会場の変更と日程変更はできることがわかります。
申し込み後に都合が悪くなった場合に便利ですよね。
変更は英検公式サイトの「受験者マイページ」にある申し込み試験情報から簡単に行うことができますよ。
その他にも、ライティングの「タイピング」または「筆記」の選択も、申し込み後に変更が可能です。
1日で完結
スピーキングも含めた4技能の試験を1日で終了できるのは忙しい方にはメリットです。また、1次試験の合格発表⇒2次試験⇒2次試験合格発表というステップがないので、結果が出るまでの期間も従来型より短くてすみます。
リスニング音声をヘッドフォンで聞ける
S-CBTでは音声はヘッドフォンで聞きます。従来型の会場での受験では、席の場所によっては音の大きさに差が出たり、周囲の音が邪魔して聞き取りにくいこともありますが、S-CBTはヘッドフォンを使用するのでそのような音声品質の差があまりありません。
終了したら退室できる
S-CBTの場合はすべて解答したら「終了」ボタンを押して各自のタイミングで退室することができます。終了時間がくるまで待つ必要がないので、早く終われば早く帰ることができます。
英検S-CBTの申し込み先
S-CBTを受ける場合は、ウェブ申し込みのみです。従来型である書店申し込みなどはありません。公式サイトのS-CBTページから申し込んでください。
申し込みの際に顔写真をアップロードする必要がありますので、事前に顔写真のデータを用意してください。
英検S-CBT申し込み手順
英検S-CBTの申し込み手順を解説します。
受験する級と希望の試験会場を都道府県から選択します。試験会場を選ぶと空きのある日程が表示されるので、日付と開始時間を選択します。
申し込みには英ナビのIDが必要となります。IDをすでに持っている場合はIDまたはメールアドレスとパスワードを入力してログインします。
IDを持っていない場合は「英ナビ!非会員の方」を選択して会員登録をします。
ライティングを「タイピング」で受けるか「筆記」で受けるかを選択します(申し込み期間内であれば後から変更することもできます)。
その他、住所・氏名・生年月日などの必要事項を入力します。英ナビを利用したことがある場合は、一部の情報が自動入力されます。
あらかじめ用意しておいた顔写真(データ)をアップロードします。
受験料の支払い方法と支払い情報を入力します。
支払い方法はクレジットカードの他にコンビニ支払・郵便局ATM(Pay-easy)が可能です。
すべての登録内容を確認したら、確定させてお申込み完了となります。
「【英検S-CBT】お申し込み完了のお知らせ」というメールが届くので確認してください。
英検SCBTの結果はいつわかる?
S-CBTの結果が出るまでは意外と時間がかかります。まずWeb上で結果が発表されます。英検サイトのマイページから結果を確認できるのですが、正確にいつかわからないと何度も見に行ってしまいますよね。
合格発表日は試験を受けた日によって異なるので、詳しくは以下の公式サイトに日程からご確認ください。
小学生のS-CBT体験談と感想
先日小学生の子供と実際にS-CBTを受験しました。受けてみてわかったことや注意点は以下の記事に書きましたので、ご参考になさってください。
英検対策どうする?小学生・中学生におすすめのオンライン英会話
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子供の英検で合否を分けるのは「読解力」です。大人と違ってリスニングは比較的得意な子が多いのですが、リーディングパートの長文読解で苦戦する子が多いようです。
英語の絵本を日常的に読むこと(英語多読)で読解力が付き、英検の難解な長文に対する苦手意識もなくなります。また、多読を続けることで文法力や語彙力もアップしますよ。
小3の子供はオンライン英会話の英語多読レッスンで英語がスラスラと読めるようになり、英検3級に合格しました。よければ以下の記事を参考にしてみてくださいね。
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